生成AI導入の相談の中で、最近よく名前が挙がるようになったのがGenUです。

「GenUって無料で使えるオープンソースなんですよね?なのに、なぜ見積もりが必要なんですか」

このような質問を受けたとき、私たちがまず説明するのは、GenU自体の価格と、それを自社で安全に動かすための費用は別物だという点です。

GenUという名前は聞いたことがあっても、それが具体的に何で、発注するとしたら何にお金を払うことになるのかを正確に理解している決裁者は、まだ多くありません。

この理解が曖昧なまま検討を進めると、「無料と聞いていたのに高額な見積もりが来た」という不信感につながりかねません。

本記事では、GenUとは何か、なぜ無料のはずなのに費用がかかるのか、発注を検討する際の判断ポイントを解説します。

なお、対象業務の選び方全般については、以下の記事もあわせてご参照ください。

※関連記事:バックオフィス業務の生成AI活用、着手すべき順番の見極め方

GenUとは何か

GenU(ジェン・ユー)は、AWSが公式に無償公開している、生成AIのユースケース集です。

自社専用のセキュアな生成AI検証環境をAWS上に構築することができます。

チャット、社内文書を使った検索(RAG)、画像生成、議事録の要約など、企業が生成AIでよく使う機能があらかじめ実装された状態で公開されています。

GenUは、AWSの生成AIサービスであるAmazon Bedrockを土台にしており、公開されているプログラムの設計図(ソースコード)を使って、自社のAWS環境に構築する形で利用します。

GenUは、この設計図自体が無償で公開されており、誰でも自由に使ってよいという意味です。

ここまでが「無料」と言われる理由であり、この理解は間違っていません。

なぜ無料のはずなのに費用がかかるのか

GenUの設計図やソースコードは無料ですが、それを実際に動かすには、次の2つの費用が発生します。

構築費用:設計図を、自社のAWS環境に実際に組み立てる作業の費用です。GenUのデプロイには、専門的なコマンド操作や設定作業が必要で、非エンジニアだけで完結させることは現実的ではありません。

利用料:組み立てた後、実際にAIを使うたびに発生する、AWSへの従量課金です。目安として、利用者数十名規模の社内利用であれば、月額数万円程度から始まるケースが多く見られます。

つまり、無料なのは設計図の部分だけで、それを形にして動かし続ける部分には、相応の費用がかかります。

これは、無料のレシピを見ながら自分で材料を揃えて調理するか、その調理ごと誰かに任せるかの違いに近いものです。

シンプル版の試算

公式サイトに試算が掲載されています。

生成 AI チャットボットを構築したい (社内データ連携なしの場合) | AWS

この構成例の概算料金: 39.63 ドル (月額)

この構成例のメリット:

  • Amazon Bedrock で提供されている基盤モデルを活用したチャットアプリケーションを素早く構築可能。
  • GitHub で公開されている GenU を活用することで、素早く環境を構築出来る。
  • GenU の構築手順は GitHub 上に公開されており、こちらを参照してお手元の AWS アカウントにすぐに構築可能。
  • GenU は、文章生成、要約、文章校正、画像生成、音声認識、などよくあるユースケースを素早く試すことができる。

GenUの主な機能

対話・検索系

  • 通常のチャット:大規模言語モデルと直接対話できる機能です。細かい要望や新しい使い方にも柔軟に対応できます。
  • RAGチャット:社内の文書やマニュアルをAIに読み込ませ、それをもとに回答させる機能です。問い合わせ対応の自動化などに使えます。参照元にはAmazon KendraまたはKnowledge Basesを使います。
  • 音声チャット:生成AIと音声で双方向にやり取りできる機能です。AIが話している途中でも割り込んで話しかけられます。あらかじめ役割を設定しておき、その役割になりきったまま音声で対話させることもできます。

生成系

  • 画像生成
  • 映像分析
  • ダイアグラム生成
  • 議事録の要約
  • 翻訳・校正

カスタマイズ・拡張系

  • MCPチャット:外部サービスと接続する設定を追加することで、AWS以外のサービスに対しても、AIが実際の操作を行えるようにする機能です。
  • ユースケースビルダー:プロンプトを書くだけで、自社独自の機能画面を作れる機能です。コードを変更する必要はありません。作った機能は、同じGenUを使う社内の他の利用者にも共有できます。
  • エージェント機能:AgentCoreという実行基盤を使って、自社で作ったAIエージェントをGenUに組み込める機能です。
  • Bedrock Flows連携:プロンプトや使用するAIモデル、他のAWSサービスをつなぎ合わせて、一連の処理の流れを組み立てられる機能です。組み立てた流れを、チャットからそのまま呼び出して実行できます。

内製できるか、外部に任せるべきか

GenUの構築には、AWSの利用環境を扱うエンジニアの知識が必要です。

社内にAWSを扱えるエンジニアがすでにいる場合は、内製での構築も選択肢になります。

社内にそうした人材がいない、あるいは他の開発業務で手が回らない場合は、構築から運用までを外部に依頼する方が、結果的に早く安全に導入できます。

外部に依頼する場合の費用感は、小さく試す規模であれば数十万円程度から、本格的な運用体制まで含めると、それ以上の見積りになるのが一般的です。

ネクストでは生成AIスターターパックとして19.8万円でGenUの構築支援サービスを提供しています。

発注前に確認すべきこと

GenUの導入を検討する際、稟議の前に確認しておくべき点は次の3つです。

  1. 構築を内製するか、外部に依頼するかが決まっているか
  2. 想定する利用者数・利用頻度に応じた、月々のAWS利用料の見込みが立っているか
  3. 小さく試す段階(PoC)と、本格運用に進んだ段階とで、費用がどう変わるかを把握しているか

この3点が整理できていれば、「無料のはずが高額だった」という誤解は避けられます。

まとめ

GenUは、AWSが無償で公開している生成AIのユースケース集です。

ただし、無料なのは設計図の部分だけで、実際に動かすための構築費用と、使い続けるための利用料は別途発生します。

内製できるかどうかを見極めたうえで、外部に依頼する場合は、小さく試す段階からの費用感を確認しておくことが、発注判断の土台になります。

GenUの導入を小さく試したい場合は、GenUスターターパックからご相談ください。

内製か外部委託かで迷っている場合は、以下の記事もご参照ください。

※関連記事:AIでSaaSは不要になるのか?内製化の判断基準と3つの落とし穴

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