AWS Lambdaとは?

AWS Lambdaとは、開発者がサーバーを設定したり、管理したりすることなく、コードを実行するためのプラットフォームです。Webサーバーを持たずにコードの実行を自動化し、アプリケーションを構築できるように設計されており、バックエンド開発を簡略化できるため、最近見かける機会も多くなりました。弊社でもガリガリと使っております。

モバイルアプリケーションにおけるバックエンドの使用例(引用元: https://aws.amazon.com/jp/lambda/

Lambdaの機能は、 トリガー と呼ばれる特定のイベントや条件に応じて自動的にコードを実行することにあります。これには、ファイルのアップロード、データベースの変更、HTTPリクエストへの応答、ユーザーのアクションなど、さまざまなイベントが用意されています。このイベントがフックとなり、あらかじめ用意されたコードを実行します。リアルタイムのデータ処理や、リソースの効率的な利用などなど。私たちの開発も簡素化されますし、エンドユーザーにとってサービス価値の向上につながります。

AWSチュートリアルでのLambdaの使用例(引用元: https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/lambda/latest/dg/services-apigateway-tutorial.html

コスト管理と最適化のベストプラクティス

こんなに便利なAWS Lambdaですが、コストが気になるところ。Lambda関数の実行にはコストがかかり、特に大規模アプリケーションやひんぱんに実行される関数では、これが意外と高額です。本記事では、Lambdaのコスト効率を最大化することに焦点を当て、その運用コストを最適化する方法について詳しく解説します。

1. メモリサイズの調整

  • 問題: Lambdaでは、あらかじめ割り当てられたメモリ量に比例して課金されます。適切なメモリサイズを選択しないと、リソースの浪費か、あるいはパフォーマンスの低下を引き起こします。
  • 解決策: 実行時間とコストのバランスを考慮してメモリを調整します。CloudWatchメトリクスを使用して関数のメモリ使用率を監視し、Lambdaのメモリ割り当てを自動で最適化するAWS Lambda Power Tuning を使って最適なメモリ設定を見つけ出しましょう。

2. 同時実行の制限とプロビジョニング

  • 問題: 無制限の同時実行は、高速処理というメリットと引き換えにトラフィックの急増時にコストを予期せず増加させる可能性があります。
  • 解決策:
    1. 同時実行数を設定し、トラフィック急増による意図しないコストの増加を防ぎます。
    2. Provisioned Concurrency (プロビジョンドコンカレンシー)1 を使用して、必要なパフォーマンスとコストのバランスを取ります。これにより、コールドスタート 2 を回避し、一貫したパフォーマンスを保証します。

3. 不要なトリガーと関数の削除

  • 問題: 使用されていないトリガーや関数は、不必要なコストの原因となります。
  • 解決策:
    1. 既存のトリガーを定期的にレビューし、不必要なものを削除します。
    2. CloudWatch LogsとAWS Lambdaの「最後の使用日」データを使用して、未使用の関数を特定し削除します。

4. タイムアウト設定の最適化

  • 問題: 高いタイムアウト設定は、失敗した関数が長時間実行されることを意味し、コストの無駄です。
  • 解決策: 関数のタイムアウトを、期待される最長実行時間に合わせて調整します。異常検知を自動化するためにAmazon CloudWatchアラームとSNS通知を設定します。

5. アーキテクチャとコードの最適化

  • 問題: 非効率的なコードとアーキテクチャは実行時間の延長とコスト増加につながります。
  • 解決策:
    1. コードのリファクタリングを実施し、計算処理を最適化します。
    2. より効率的なサーバーレスパターンを採用し、外部リソース(例:データベース)へのアクセスを最適化します。

最後に

Lambdaのコスト最適化はLambdaを使用して開発を続ける限り、応急の処置だけでなく、継続的に取り組む必要がありそうです。適切なメモリとタイムアウト設定の選択、不要なリソースの削減、そしてコードの改善を続けることでコスト効率とパフォーマンス向上の両立が実現しそうですね。参考になれば嬉しいです👋

  1. プロビジョンドコンカレンシー(Provisioned Concurrency)は、Lambda関数のレイテンシ(遅延)を改善するための機能。関数が即座に応答できるように、指定した数のインスタンスを初期化して「ウォーム」状態で保持します。 ↩︎
  2. コールドスタート(⇔ウォーム)とは、Lambda関数が特定のイベントに応答するために起動する際に発生する初期化の遅延のこと ↩︎