「アジャイル開発」や「ウォーターフォール開発」といった言葉を耳にする機会が増えた今、

自社にどちらの開発手法が合っているのか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

特に、これから初めて開発に関わる方にとっては

「どう違うのか」「なぜ切り替える企業が増えているのか」がわかりにくいものです。

本記事では、アジャイルとウォーターフォールの違いを図解を交えてやさしく整理し、

それぞれの特性や向き不向きを踏まえたうえで、開発手法の選び方をお伝えします。

こんな方におすすめ

  • アジャイルとウォーターフォールの違いをざっくり理解したい方
  • 開発プロジェクトを初めて任されるビジネス職の方
  • 社内での導入検討にあたって、基礎知識を整理したい方
  • 「なんとなく聞いたことはあるけど、自信を持って説明できない」
  • そんな方でも、この記事を読み終えるころには自分なりの判断軸が持てるはずです。

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1. 「結局どっちがいいの?」に答えます

アジャイルとウォーターフォール、よく聞くけど違いがわからない

「アジャイル開発とウォーターフォール開発、結局どっちがいいの?」

これは多くの企業担当者が一度は感じる疑問です。どちらもソフトウェア開発でよく使われる手法ですが、考え方や進め方がまったく異なります

ウォーターフォールは、要件定義からテスト・リリースまでを一方向に進める「直線型」の開発。全体設計を先に固めてから開発に入るため、計画通りに進めやすい反面、途中変更が難しいという特徴があります。

一方アジャイルは、小さな単位で開発と改善を繰り返す「反復型」。計画よりも変化への柔軟な対応やユーザーとの対話を重視しており、スピード感と柔軟性が強みです。

「どっちが優れているか」ではなく、自社のプロジェクトに合った手法を選ぶことが重要です。

プロジェクトに合った開発手法を選ぶことが重要

たとえば、要件がはっきりしていて途中で変更が起こりにくい業務システムであれば、ウォーターフォールが適しています。逆に、ユーザーの声を聞きながら価値を磨いていく新サービスの開発などは、アジャイルの方が効果を発揮します。

また、開発のスピード感や、リリースまでに必要な柔軟性、社内の体制なども考慮が必要です。特に不確実性が高い時代においては、変化に強いアジャイル型の開発が注目されています

いずれの手法も万能ではありません。だからこそ、自社の状況やゴールを冷静に見つめたうえで、最適な開発手法を選ぶことが、成功への第一歩になります。

2. ウォーターフォール開発とは?特徴と進め方の基本

要件定義からテストまで“順番に進める”手法

ウォーターフォール開発とは、すべての工程を上から下へ“流れるように”進めていく開発手法です。名前のとおり、水が滝を流れるように、要件定義・設計・実装・テスト・リリースという工程を、順番に一方向で進めます。

最初に作る設計図に基づいてすべての作業を進めるため、あらかじめゴールが明確なプロジェクトには適しています。例えば、会計システムや業務系基幹システムなど、要件が最初からはっきりしているケースでよく使われています。

ドキュメント重視・変更しづらいという特性

ウォーターフォールの特徴は、計画とドキュメントを重視する点にあります。要件定義書や設計書など、前工程で作成した資料を次工程にしっかりと引き継ぐことで、進捗の管理や品質の担保がしやすくなります。

一方で、途中での変更が難しいというデメリットもあります。開発がある程度進んでから要件の見直しが必要になっても、最初からやり直しになることが多く、手間やコストが増えるリスクがあります。

そのため、後から変更が発生しやすいプロジェクトや、不確定要素が多いサービス開発などには向きません

安定性と計画重視の現場に適している理由

ウォーターフォール開発は、スケジュール通りに、きちんとした手順で進めることを重視する現場で効果を発揮します。事前に計画を立てて、それに沿って着実に作業を進めたいプロジェクトには適した選択肢です。

特に、法規制に関わるシステムや、品質保証が厳しく求められる分野では、ウォーターフォールのように文書化された進行管理が信頼につながります。

アジャイルと比較すると柔軟性には欠けますが、安定性や予測可能性が求められる開発には、今もなお有効なアプローチです。選択肢のひとつとして、あらためてその特徴を押さえておきましょう。

3. アジャイル開発とは?特徴と考え方の基本

小さく作ってすぐに試し、改善を繰り返すスタイル

アジャイル開発とは、「計画通りに作る」よりも「実際に使いながら改善していく」ことを重視する開発手法です。大きなシステムを一度に完成させようとするのではなく、まずは最小限の機能を作り、ユーザーに試してもらいながら改善を重ねていきます。

このように、短いサイクルで計画・実装・振り返りを繰り返すことで、より現場やユーザーのニーズに合った成果物が生まれやすくなります

最初から完璧を目指すのではなく、変化を前提とした“進化する開発”であることがアジャイルの大きな特徴です

チーム間のコミュニケーションを重視

アジャイル開発では、「人」と「対話」を重視します。仕様書やメールではなく、日々の会話やチームミーティングの中で課題を共有し、意思決定していく文化が根づいています

開発者だけでなく、プロダクトオーナー、デザイナー、テスターなど、関わるすべてのメンバーがチームとして同じゴールに向かって動くことが前提です

この密なコミュニケーションこそが、スピーディかつ柔軟な意思決定を可能にし、変化への強さにつながっています

ユーザーの変化に柔軟に対応できる開発文化

アジャイル開発は、「ユーザーのニーズは変わるもの」と捉え、それに適応する姿勢を大切にしています。計画を守ることが目的ではなく、実際に価値を届け続けることが目的です

そのため、要件や仕様が途中で変わることを前提に、柔軟に調整できるプロセスが組み込まれています。この考え方は、特にスピードと変化が求められるWebサービスやスタートアップで支持されています。

変化に素早く対応し、常にユーザーの期待を上回るものを提供し続ける。それがアジャイル開発の本質です。

4. アジャイルとウォーターフォールの違いを図で比較

開発の流れや対応スピード、要件変更、納品タイミングの違い

アジャイルとウォーターフォールは、開発の考え方や進め方が根本的に異なります

ウォーターフォールは「要件定義→設計→実装→テスト→リリース」と工程を順番に進めるスタイルです。一度決めた要件は基本的に変えず、最後にまとめて成果物を納品するのが一般的です。そのため、計画通りに進めやすい反面、途中での変更が難しいという側面があります。

一方、アジャイルは短いサイクルで設計・実装・テストを繰り返すのが特徴です。毎回少しずつ機能を追加しながら動くものを届けていくため、変更にも柔軟に対応できるのが強みです。

この違いは、図で比較するとよりわかりやすくなります。「大きくまとめて完成させる」のがウォーターフォール、「小さく作って早く使ってもらう」のがアジャイルと整理できます。

「一括リリース」と「段階リリース」の視覚的理解

ウォーターフォールでは、開発の終盤に一度だけリリースするのが基本です。そのため、完成するまでユーザーが実物を見ることはほとんどありません。これは「一括リリース」と呼ばれる形で、安定性や事前調整が重視される現場に適しています

一方アジャイルでは、最初からリリースを小分けにする「段階リリース」を前提としています。小さくても動くものを早期に提供し、ユーザーの反応を見ながら改善していく流れです。

この視点から見ると、プロジェクトの性質や目的によって、どちらの手法が向いているかが明確になります。例えば、仕様が変わりやすいサービス開発ならアジャイル、要件が明確でスケジュール重視ならウォーターフォールという選び方が考えられます。

図解を通して両者の違いを視覚的に理解することで、自社に合った開発スタイルを選ぶ手がかりが得られます。

5. 現場でよくある疑問と誤解

アジャイルは“行き当たりばったり”なの?

アジャイルという言葉から「計画なしでその場しのぎに進めている」と誤解されることがあります。しかし、これは完全な誤解です。

アジャイルは、あらかじめすべてを決めて動くのではなく、変化を前提にした計画と実行のスタイルです。短いサイクルで「計画→実装→ふりかえり」を繰り返すことで、実は従来よりも計画性が高く、学びの多い開発が可能になります。

変化に対応するために、常に優先順位を見直し、価値の高いものから着手するのが基本です。アジャイルは行き当たりばったりではなく、柔軟性と継続的な見直しに基づいた意思ある開発だと理解することが大切です。

ウォーターフォールは“時代遅れ”?

アジャイルの人気が高まる中で、「ウォーターフォールはもう古いのでは?」という声もよく聞かれます。しかし、すべての現場にアジャイルが最適というわけではありません

たとえば、要件が明確で途中変更のリスクが少ないプロジェクトや、安全性・正確性が最重要のシステムでは、ウォーターフォールのように計画通りに進める手法のほうが適しています

つまり、ウォーターフォールは今でも有効な選択肢であり、目的やプロジェクト特性に応じて使い分けることが重要です。「古いからダメ」ではなく、適材適所で選ぶ視点を持ちましょう。

ハイブリッド型(ウォーターフォール+アジャイル)もある

実際の現場では、「完全アジャイル」や「完全ウォーターフォール」にこだわらず、両方の特性を取り入れたハイブリッド型を採用するケースも増えています。

たとえば、上流工程ではウォーターフォール的に要件をまとめ、中流から下流にかけてはアジャイル的に実装を進めるといったやり方です。全体像を押さえつつ、変化に柔軟に対応できる点がメリットです。

アジャイル導入に不安がある企業でも、ハイブリッド型から始めることで、スムーズに移行することが可能です。大切なのは、開発手法そのものよりも、「顧客に価値を届けるためにどう動くか」という姿勢です。

6. それぞれの手法が向いているケースとは

ウォーターフォールが向いているプロジェクト

ウォーターフォール開発は、要件が最初に明確に定まっているプロジェクトや、途中で仕様変更が起きにくいケースに向いています。

たとえば、官公庁案件や厳格な予算管理が必要な大規模プロジェクト、製造・建設系のシステムなどは、事前に詳細な設計と工程管理が求められます。そのため、計画通りに進行しやすいウォーターフォールのメリットが活きる環境です。

また、品質保証の観点から厳しいテスト工程が必要なプロジェクトでも、各工程を段階的に進めるウォーターフォールは有効です。

アジャイルが向いているプロジェクト

一方で、アジャイルは要件が変化しやすいプロジェクトや、ユーザーの反応を見ながら柔軟に改善したい開発に向いています。

たとえば、スタートアップのプロダクト開発、マーケティング部門との連携が必要なWebアプリケーション、AIやクラウドを活用した新規サービスなどは、途中で方向転換が発生しやすく、スピーディーな対応が求められます

アジャイルは短いサイクルで動かしながら改善していくスタイルのため、不確実性の高い領域でこそ力を発揮します。

選び方のポイントは「変化」と「確定度」

ウォーターフォールとアジャイル、どちらが優れているということではなく、プロジェクトの性質に応じて適切な手法を選ぶことが大切です。

判断のポイントは主に以下の2つです。

  • 要件の変化が多いか、少ないか
  • 仕様やゴールが最初から明確か、不確かか

変化が少なく、ゴールが明確な場合はウォーターフォール

変化が多く、仮説検証を繰り返す必要があるならアジャイルが基本の考え方です。

また、最近では「上流はウォーターフォール、下流はアジャイル」といったハイブリッド型の活用も増えています。開発手法にこだわるよりも、目的に対して柔軟に手段を選ぶ姿勢が求められています。

7. 開発手法を選ぶときに考慮すべき3つの視点

ビジネス側の要件や不確実性

まず確認すべきは、ビジネス要件がどの程度はっきりしているかという点です。要件が最初から固まっており、途中での変更がほとんどない場合はウォーターフォール開発が有効です。

一方で、新サービスの立ち上げや市場の変化が激しい状況では、不確実性を前提としたアジャイル型のほうがフィットします。アジャイルであれば、ユーザーの反応を見ながら軌道修正ができ、ビジネスのスピードに合わせて柔軟に対応できます。

要件が流動的であるかどうかは、最適な開発手法を選ぶうえでの重要な判断材料になります。

開発チームの経験や体制

次に注目すべきは、自社の開発チームがどの程度のアジャイル経験を持っているかです。

アジャイルはフレームワークの理解や実践経験だけでなく、継続的なコミュニケーションや自律的なチーム運営が前提になります。チームにそのような文化やスキルが育っていない場合は、いきなりアジャイルを導入しても混乱を招くことがあります。

その場合は、まずウォーターフォール型で体制を整えたうえで、段階的にアジャイル要素を取り入れていく方法も現実的です

また、外部のアジャイルコーチや導入支援の活用も、成功確率を高めるための有効な選択肢になります。

ステークホルダーとの合意形成のしやすさ

最後に考えるべき視点は、関係者の巻き込みや合意形成がどれだけスムーズにできるかという点です。

アジャイルでは、頻繁なレビューやフィードバックが求められるため、ステークホルダーの関与が開発の成功に直結します。協力的な関係が築けていれば、アジャイルの強みを最大限に発揮できます。

一方で、意思決定のスピードが遅かったり、頻繁な確認作業に参加できる体制が整っていない場合は、アジャイルのメリットを活かしきれないリスクもあります

開発チームだけでなく、ビジネス側や上層部との協働体制をどう築くかも、手法選びの重要な判断軸となります。

8. 「違いを理解して選べる」ことが最初の一歩

どちらが正解ではなく“合うかどうか”がすべて

アジャイルとウォーターフォール、どちらが優れているかという議論はよくありますが、本質的には「合うかどうか」で判断することが大切です。プロジェクトの内容や組織の状況によって、最適な手法は変わります。

例えば、要件が変わりやすく、素早いフィードバックが必要な場合はアジャイルが向いています。逆に、要件が最初から明確で、関係者が固定されているプロジェクトではウォーターフォールが有効です。

大切なのは、手法のメリットとデメリットを理解したうえで、自社の状況にフィットする開発スタイルを選ぶことです。

初めての導入でもポイントを押さえれば失敗しない

「初めてのアジャイルだから失敗しそう」と不安になる方も多いかもしれません。しかし、いきなり完璧を目指す必要はありません。むしろ、最初からうまくいかなくて当然です。

ポイントは、小さく始めて振り返りながら改善していく姿勢を持つことです。たとえば、ひとつの小規模プロジェクトを対象に試験導入することで、リスクを抑えつつ実践的な学びを得られます。

また、外部パートナーやアジャイル経験者の力を借りることで、スムーズな立ち上がりと早期の成果につながる可能性も高まります

最初の一歩は不安でも、「理解して選ぶ」ことで、アジャイル導入はぐっと現実的な選択肢になります。

まとめ

アジャイルとウォーターフォールは、どちらが優れているかではなく、

プロジェクトや組織に合っているかどうかで選ぶべき手法です。

ウォーターフォールは、要件が明確で、手戻りが少ないプロジェクトに適しており、

一方でアジャイルは、変化に柔軟に対応しながら進める現代的な開発スタイルです。

どちらを選ぶにせよ、重要なのは開発手法そのものを目的化しないこと

「どんな価値を届けたいのか」「変化にどう対応していくか」を見据えたうえで、

手段としての開発スタイルを選択することが成功のカギになります。

判断のポイント

  • プロジェクトの不確実性の高さ
  • 要件や仕様の変化頻度
  • チームやステークホルダーの関与度合い

自社のフェーズに合った開発スタイルを選び、

変化に強く、価値ある成果を届ける体制をつくっていきましょう。

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