企業のAI導入で「ガードレール」という言葉をよく聞くようになりました。

生成AIの導入検討が進むほど、こうした新しい用語が意思決定の場に増えていきます。用語の意味を押さえておかないと、その場で判断ができず、検討が足踏みします。

本記事では、ガードレールとは何か、何のためにあるのか、稟議の場でどう説明すればよいかを解説します。

なお、機密情報の扱いは稟議で必ず確認される論点であることは、以下の記事でも触れています。

※関連記事:バックオフィス業務の生成AI活用、着手すべき順番の見極め方

ガードレールとは何か

ガードレールとは、生成AIが不適切な出力をしたり、想定外の動作をしたりすることを未然に防ぐための制御の仕組みです。

道路のガードレールが車両の逸脱を防ぐように、生成AIの入力と出力を監視し、逸脱を防ぐという発想から名付けられています。

生成AIは、従来のシステムと異なり、入力に対してどのような出力が返るかを事前にすべて予測することができません。

この不測性こそが生成AIの強みであると同時に、企業が導入をためらう理由にもなっています。

ガードレールは、この不測性を野放しにせず、安全に使える範囲に収めるための仕組みです。

3つの要素で構成されている

ガードレールは、単一の機能ではなく、次の3つの要素の組み合わせで成り立っています。

技術

入力と出力をリアルタイムに監視する仕組みです。個人情報や機密情報が入力されていないかを検知したり、不適切な出力を抑制したりします。

プロセス

生成AIの出力を、業務担当者が最終確認する運用フローです。技術だけで100%の安全性を保証することはできないため、人が確認する工程を組み込む必要があります。

ガバナンス

誰が責任を持ち、どのようなルールで運用し続けるかという体制です。技術もプロセスも、更新し続ける体制がなければ形骸化します。

この3つのうち、どれか1つだけを整えても、ガードレールとしては機能しません。

技術的な監視の仕組みがあっても、それを運用するプロセスと責任の所在が曖昧であれば、事故が起きたときに誰も対応できない状態になります。

なぜ稟議で必ず聞かれるのか

生成AI導入の稟議で、ガードレールが必ず問われる理由は、リスクの種類が明確だからです。かえって言うと、ここを抑えておけば稟議が通りやすくなるともいえます。

情報漏えい

入力した機密情報が、意図しない形で外部に渡るリスクです。

誤回答

もっともらしく見える誤った出力が、対外文書や意思決定に混入するリスクです。

説明責任

AIを利用していることの開示や、判断の透明性を求められる場面が増えています。

決裁者は、この3つのリスクに対して、会社としてどう備えているかを確認したいのです。

「対策を検討します」という回答では、この確認に応えたことになりません。

稟議で聞かれたときの答え方

ガードレールについて聞かれた場合、次の3点を順に答えられれば、決裁者の疑問には応えられます。

  1. 入力段階で、どのような情報を検知・遮断する設定になっているか
  2. 出力を、誰がどのタイミングで確認する運用になっているか
  3. この運用ルールを、誰が責任者として見直し続けるか

この3点は、先に挙げた技術・プロセス・ガバナンスにそのまま対応しています。

3点のうち1つでも「今は決まっていません」という回答になる場合、それは導入を止める理由ではなく、決めてから導入すべき項目が残っているという状態です。

まとめ

ガードレールは、生成AIを「使わせない」ためのものではなく、「安全に使わせ続ける」ための仕組みです。

技術・プロセス・ガバナンスの3要素がそろって初めて機能します。

稟議の場でガードレールについて聞かれたら、この3要素それぞれについて、今どう備えているかを答えられるようにしておいてください。

導入検討の中でガードレールの設計に迷う場合は、生成AI導入支援のページからご相談ください。

バックオフィス業務など、具体的な業務単位での導入判断については、以下の記事もご参照ください。

※関連記事:バックオフィス業務の生成AI活用、着手すべき順番の見極め方

導入の進め方について直接相談したい場合は、お問い合わせからご連絡ください。まずは資料だけ確認したい場合は、資料ダウンロードから入手できます。