結論:多くの場合は1つで十分だが、可用性を高めたいなら複数登録する

MXレコードは、メールを受信するサーバーをDNS上で指定するためのレコードです。「1つしか設定してはいけない」というルールはなく、実際には多くの中小規模の環境では1つだけで運用されています。

では、なぜ複数登録するケースがあるのでしょうか。


MXレコードの優先度の仕組み (おさらい)

MXレコードには「優先度(Preference値)」という数値があり、数値が小さいほど優先されるという決まりになっています。

example.com.  IN  MX  10  mail1.example.com.
example.com.  IN  MX  20  mail2.example.com.
example.com.  IN  MX  30  mail3.example.com.

送信側のメールサーバーは、まず優先度 10 のサーバーへの配送を試み、失敗した場合にのみ次の優先度へフォールバックします。同時にすべてのサーバーへ送信されるわけではありません。

複数登録が有効なケース

1. 冗長化・可用性の確保

メインのメールサーバーが障害やメンテナンスで停止した際に、バックアップサーバーへ自動的に切り替えたい場合。企業のメールインフラでは最も一般的な理由です。

2. スパム対策・セキュリティサービスの前段配置

Google Workspace や独自メールサーバーの前段に、スパムフィルタリングサービス(クラウド型セキュリティゲートウェイなど)を優先度の高いMXとして挟むケースです。

3. 負荷分散

同じ優先度のMXレコードを複数登録すると、送信側がランダムに振り分けるため、受信サーバーの負荷分散が可能になります。

4. 移行期間中の並行運用

メールシステムの移行(例:オンプレミス→クラウド)の際、一時的に新旧両方のサーバーを登録して切り替えを段階的に行うケースです。

1つのままでよいケース

  • 個人サイトや小規模事業者で、メール停止時の影響が限定的な場合
  • Google Workspace や Microsoft 365 など、提供元のサービス自体が既に冗長構成になっている場合(この場合、追加のバックアップMXはむしろ不要かつ設定ミスの原因になりやすい)

注意点

優先度が低い(数値が大きい)サーバーも、実際にメールを受信できる状態でなければなりません。単なる「待機用」で実際は受信処理をしていないサーバーを指定すると、メイン障害時にメールが宛先不明のまま溜まったり、配送不能になったりするリスクがあります。

まとめ

状況MXレコード数
小規模・シンプルな運用1つで十分
可用性・冗長化を重視複数(優先度違い)
セキュリティゲートウェイ併用複数(優先度違い)
負荷分散したい複数(同一優先度)

自社の要件が「可用性」「セキュリティ」「移行」のいずれかに該当する場合は、複数登録を検討する価値があります。

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