会社が把握していない状態で社員が勝手にAIを使っている状態を「シャドーAI」と呼びます。

シャドーAIという言葉は急速に広まりましたが、現場では「野良AI」と呼ばれることもあります。呼び方は違っても、指している状態は同じです。

会社が把握しないままAIが使われている状態そのものを問題視するあまり、対処法を「禁止」の一択にしてしまう企業が少なくありません。

本記事では、シャドーAI(野良AI)とは何か、なぜ起きるのか、禁止に頼らない向き合い方を解説します。

なお、機密情報の扱いという観点では、以下の記事もあわせてご参照ください。

※関連記事:「ガードレール」とは?生成AI導入で問われるガバナンス論点

シャドーAI(野良AI)とは何か

シャドーAIとは、会社が正式に承認していないAIツールを、従業員が個人の判断で業務に使っている状態を指します。

情報システム部門の間では、以前から「シャドーIT」という言葉がありました。会社が把握していないクラウドストレージや個人端末を業務で使う状態を指す言葉です。

シャドーAIは、このシャドーITのAI版と捉えると理解しやすくなります。

シャドーITとの違い

シャドーITとシャドーAIには、見過ごせない違いがあります。

シャドーITは、情報を外部に「持ち出す」ことが主なリスクでした。

シャドーAIは、持ち出しに加えて、入力した情報が学習や品質改善に使われる可能性があること、そして出力そのものが誤っていてももっともらしく見えることという、2つの新しいリスクが加わります。

つまり、シャドーITは情報の出口だけを気にすればよかったのに対し、シャドーAIは入口と出口の両方が事故の起点になります。

なぜ起きるのか

シャドーAIの多くは、悪意から生まれるわけではありません。

資料作成を早く終わらせたい、翻訳をすぐに済ませたいという、現場の正当な業務ニーズから生まれます。

会社が正式なAIツールを用意していない、あるいは用意していても使い勝手が悪い場合、従業員は個人で使い慣れたツールに手を伸ばします。

この構造を理解すると、シャドーAIへの対処が「禁止」だけでは不十分だということが見えてきます。

禁止に頼らない向き合い方

シャドーAIへの対処として最初に思いつくのは、利用の禁止です。

ただし、禁止だけを打ち出すと、現場は隠れて使い続けるだけで、実態はむしろ見えにくくなります。

効果的な向き合い方は、次の3点を組み合わせることです。

利用状況を可視化する

まず着手すべきは、禁止でも受け皿づくりでもなく、実態を知ることです。

どのAIツールが、どの部署で、どの程度使われているかが分からないままでは、対策の優先順位もつけられません。

可視化の方法は、ログ管理ツールによる検知だけとは限りません。

現場に直接ヒアリングし、「今どんなAIツールを、どんな場面で使っているか」を聞き取るだけでも、多くの実態が見えてきます。

聞き取りの際は、利用そのものを咎める姿勢ではなく、次の受け皿づくりの材料を集めるという姿勢で臨むことが重要です。

受け皿を用意する

可視化で見えてきた現場のニーズに応じて、会社として使ってよいAIツールを用意します。

このとき、受け皿の使い勝手が悪いと、結局シャドーAIに戻ってしまいます。

申請から利用開始までの手続きが煩雑すぎないか、既存の業務フローに馴染む形で使えるかは、受け皿を選ぶ際の重要な基準になります。

いきなり全社展開する必要はありません。

シャドーAIが集中している部署から、部分的に正式導入するという進め方が現実的です。

リテラシー教育を行う

なぜリスクがあるのか、どう使うべきかを、頭ごなしに禁止するのではなく理解してもらいます。

ガバナンスの視点は重要ですが、そもそもツールへのニーズがあるからシャドーAIが発生します。

この順序を忘れると、リテラシー教育だけが先行し、現場は「禁止のための研修」だと受け取ってしまいます。

可視化と受け皿づくりを並行して進めながら、なぜその受け皿を使うべきなのかという理由をあわせて伝えることで、初めて教育が定着します。

この3点は、以前の記事で扱ったガードレールの3要素(技術・プロセス・ガバナンス)とも重なります。

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まとめ

シャドーAI(野良AI)は、会社が把握しないままAIが使われている状態を指し、多くは現場の正当な業務ニーズから生まれます。

禁止だけで対処しようとすると、実態はかえって見えにくくなります。

受け皿の用意、利用状況の可視化、リテラシー教育を組み合わせることが、現実的な向き合い方です。

自社の状況を整理したい場合は、生成AI導入支援のページからご相談ください。

ガードレールの設計について詳しく知りたい場合は、以下の記事もご参照ください。

※関連記事:「ガードレール」とは?生成AI導入で問われるガバナンス論点

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