ダッシュボードを導入したのに、数字を“見るだけ”で終わっていませんか?

BIツールを使っている企業でも、「KPIが動かない」「行動が変わらない」といった悩みは意外と多く聞かれます。

そもそも、BIはグラフを作るツールではなく、意思決定とアクションを後押しするための仕組みです。

では、成果を出している企業はどのようにダッシュボードを設計しているのでしょうか?

本記事では、KPIが動き出す企業の共通点をもとに、「使われるBIダッシュボード」の型を解説します。

こんな方におすすめ

  • ダッシュボードを作ったが活用が進まない
  • KPIの見せ方やレイアウトに悩んでいる
  • BIで“行動が変わる組織”をつくりたい

数字をただ並べるのではなく、「見ることで動きたくなる」ダッシュボードへ。

その第一歩として、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

Amazon QuickSight導入支援はこちら

1. そのダッシュボード、KPIに変化を起こせていますか?

せっかくダッシュボードを作ったのに、KPIが動かない。

そんな悩みを感じている企業も少なくありません。

原因の多くは「作った」ことに満足し、「使われる設計」になっていないことにあります。

「見せる」だけで終わるダッシュボードの限界

グラフや表を並べただけのダッシュボードでは、見る人の行動が変わりません。

特に情報が多すぎる場合、「何を見ればいいのか」がわからず、かえって意思決定が遅れることもあります。

見るべき数字が明確でなければ、KPIはただの飾りになってしまいます。

成果を出す企業は“設計の型”を持っている

成果を出している企業のダッシュボードには共通点があります。

それは、「誰が」「何を判断し」「どう動くか」までを想定した設計になっていることです。

指標の配置順序、色の使い方、ハイライトの入れ方。

どれも“伝えるための設計”であり、行動を後押しする型なのです。

見せることがゴールではありません。

見た結果、行動が変わるダッシュボードこそ、KPIを動かす仕組みなのです。

2. KPIが動くダッシュボードに共通する3つの視点

ダッシュボードは「作った」だけでは意味がありません。

KPIを動かす企業のダッシュボードには、いくつかの共通点があります。

ここでは、その中でも特に重要な3つの視点をご紹介します。

“誰が”“何のために”使うかが明確

成果を出している企業のダッシュボードには、明確なユーザー像と利用目的があります。

経営層が使うのか、現場リーダーが使うのかで設計は大きく変わります。

「見る人が迷わない」構成になっているかを確認しましょう。

判断や行動につながる指標だけを並べている

数字は多ければよいというものではありません。

むしろ、不要な情報があることで本当に見るべき指標が埋もれてしまいます。

判断を促すための指標に絞り込み、変化がひと目でわかる設計が重要です。

日々の業務と連動して“使われる”ようになっている

KPIが動くダッシュボードは、日常業務と自然に結びついています。

たとえば、朝会や定例ミーティングの場で必ず確認されるようになっていたり、

メールやSlackで自動共有されるなど、“使われる仕組み”が整っていることが共通点です。

ダッシュボードは作って終わりではありません。

業務と一体化し、日常の意思決定を支える状態を目指しましょう。

3. ダッシュボードの型①:営業マネジメント用KPI構成

営業チームをマネジメントするためのダッシュボードは、“現状を把握して判断し、動ける”構成になっていることが重要です。

ここでは、成果を出している企業が取り入れている営業向けダッシュボードのKPI構成と設計の考え方をご紹介します。

案件数、受注率、平均単価、活動数などの連動設計

営業のKPIは、ひとつだけを見ても判断がつかないことが多くあります。

たとえば案件数が多くても、受注率が低ければ成果にはつながりません。

逆に、平均単価が下がっていれば粗利に影響します。

だからこそ、各指標を“連動”させて表示することが必須です。

それによって、どこに問題があるのかが一目でわかるようになります。

商談ステージ別に異常が見える「ファネル型」表示

受注に至るまでの商談ステージを可視化することで、ボトルネックが明確になります。

特定のステージで案件が滞っていないか、前月より進捗が鈍っていないか。

こうした“詰まり”を早期に把握するには、ファネル型の表示が非常に有効です。

【構成例】営業会議で使える進捗モニタリング型ダッシュボード

成果を出す企業では、営業会議の場で以下のようなダッシュボードが活用されています。

  • 月次/週次の案件数と受注率
  • ステージ別の件数・停滞日数
  • 担当者ごとの活動件数とCV率
  • 過去との比較(前年・前月)

これらを1画面で確認できるよう設計することで、「今どこに課題があるのか」「何をすべきか」が即座に見えてきます。

BIは単にデータを集めるだけでなく、行動につなげる道具です。

営業の数字を“動かす”ためには、このような構成と使い方を意識しましょう。

4. ダッシュボードの型②:マーケティング施策の成果追跡

マーケティングにおいて、施策の良し悪しを数値で把握し、次の一手につなげることは欠かせません。

成果を出す企業のダッシュボードは、見た目のきれいさよりも、意思決定のスピードと改善の精度を高める設計になっています。

広告別のCVR/CPAの推移

日々の広告運用で最も重視されるのが、コンバージョン率(CVR)と顧客獲得単価(CPA)です。

成果が出ている広告とそうでない広告を見極めるために、媒体別・キャンペーン別に数値の推移をグラフ化しておくことが基本です。

これにより、どこに注力すべきか、どこを止めるべきかがひと目でわかります。

週次・月次比較による改善サイクル支援

成果を出すマーケターは、「いま」だけでなく「変化」も見るようにしています。

週次・月次の数値を並べて表示することで、改善効果が出ているのか、それとも悪化しているのかをすぐに判断できます。

この“振り返りのしやすさ”が、PDCAを回すスピードを大きく変えるポイントになります。

【構成例】キャンペーン別KPI比較とボトルネック可視化型

成果を出している企業では、以下のようなダッシュボード構成がよく使われています。

  • キャンペーン別のCV、CVR、CPA一覧
  • 日別・週別のトレンドグラフ
  • クリック数や離脱率など、改善対象となる指標の分解表示
  • A/Bテストの比較結果の自動反映

このように、施策を打ちっぱなしにせず、改善につなげる“見える仕掛け”をつくることが重要です。

マーケティングダッシュボードは、レポートではなく改善行動のトリガーとして使うことが、本当の成果につながります。

5. ダッシュボードの型③:経営層向けの“俯瞰型”レポート

経営層が求めているのは、日々の細かい数字ではなく、全体像とその変化の要因です。

BIダッシュボードは、そうした視点に合った設計にすることで、経営判断のスピードと質を大きく高めることができます。

売上・粗利・コストの俯瞰と変動要因の把握

ただ売上を並べるだけでは、経営層にとっては物足りません。

売上・粗利・コストなど主要指標を同時に表示し、前期比・前年同月比の推移を示すことで、変化の背景を捉えやすくなります。

さらに、部門別・事業別にドリルダウンできれば、「どこが影響しているのか」がすぐにわかります。

6. KPIが動かないダッシュボードの典型例と改善策

せっかくBIツールでダッシュボードを作っても、KPIが動かない。

そんなケースには共通する“もったいない構成”があります。

ここでは、よくある失敗パターンとその改善策を紹介します。

指標が多すぎて“何を見ればいいか”わからない

「せっかくなので全部載せておこう」と、グラフや指標を詰め込みすぎたダッシュボード。

一見便利そうですが、ユーザーが“見るべき指標”を見失ってしまう原因になります。

改善のコツは、「その画面を誰が、どんな判断のために見るのか」を明確にしておくこと。

指標の数を減らすのではなく、役割ごとにダッシュボードを分けることで、迷いのない設計が可能になります。

見た目はキレイだが、行動につながらない構成

デザインにこだわるのは大切ですが、「見て終わり」のダッシュボードになっていないか注意が必要です。

たとえば、色分けやグラフが整理されていても、「今どうすればいいのか」がわからないとアクションには結びつきません。

判断を促すためには、「目標との差分」「アラート表示」「ドリルダウン」などの工夫が効果的です。

ユーザーが自分の業務に引き寄せて解釈できるようにすることが、KPIを動かす第一歩です。

使われない理由と“脱・飾りグラフ”の設計ポイント

「ダッシュボードを作ったのに、誰も見ていない」

これはBI導入時によくある悩みです。多くの場合、“見る習慣がない”のではなく、“見たくなる理由がない”ことが原因です。

改善の鍵は、「見ると何かがわかる」から「見ると“動ける”」に変えること。

そのために必要なのは、装飾ではなく、構造の見直しです。

  • 意思決定に必要な指標だけを表示する
  • 定例会議や報告と連動させて“見るタイミング”をつくる
  • コメント欄や共有リンクで“使う流れ”を設計する

ダッシュボードは“作ること”がゴールではありません。

“使われて、動かされて、成果につながること”が本当のゴールです。

BIの力を最大限活かすには、こうした“見せ方の設計”こそが最重要なのです。

全社KPIを1ページにまとめた「経営モニター型」

複数の事業や部門を横断して確認するには、ダッシュボードの“ページ切り替え”はなるべく避けたいところです。

そのため、主要な全社KPIを1画面に集約した“モニター型”の構成がよく使われます。

具体的には、以下のような構成が効果的です。

  • 売上・粗利・販管費などの主要KPIサマリー
  • 異常値をハイライトするアラート表示
  • 予算との差分や進捗率を色でわかりやすく表示

「数値は正しい。でも“気づけない”」という状況を防ぐには、視覚的な設計がカギとなります。

【構成例】指標ごとにドリルダウン可能なトップ画面構成

経営層向けには、以下のようなトップページ構成がよく使われています。

  • 全社KPIサマリー(売上、利益、コスト、KPI進捗)
  • 異常値・達成率未満の指標を自動で強調表示
  • 指標ごとに詳細ページへドリルダウン可能なリンク付き設計
  • 週次や月次での自動更新、PDFでの出力連携

BIツールを経営層が本気で使い始めたとき、社内の数字に対する意識とスピードが一段上がるのを実感するはずです。

経営に使えるBIとは、見た目以上に“動きを変える設計”がされているかどうかが分かれ目となります。

7. ダッシュボード活用を定着させるための工夫

せっかくダッシュボードを整備しても、見られず、使われず、結果として“定着しない”というケースは少なくありません。

BIを「日常の業務に溶け込む仕組み」として定着させるためには、設計や運用面での工夫が欠かせません。

会議や定例と“使う場面”を結びつける

ダッシュボードが活用されるかどうかは、「いつ・どこで使うか」が明確かどうかにかかっています。

たとえば、週次の営業会議や月次の経営会議で「この画面を見ること」が前提になっていれば、自然と見られるようになります。

逆に、「好きなときに自由に見てください」では使われません。

定例会議や日報業務など、既存の業務フローと結びつけることが最も効果的です。

ユーザーごとに必要な指標を出し分ける

一つの画面にすべての情報を詰め込むのではなく、使う人に合わせた設計が重要です。

現場の担当者が見るべき指標と、経営層が意思決定に使う指標は当然異なります。

BIツールでは、ユーザーの役割に応じて表示項目やフィルタを切り替える仕組みがつくれます。

この“出し分け”ができていないと、誰にとっても使いにくい汎用ダッシュボードになってしまい、活用が定着しません。

フィードバックを受けて進化させ続ける設計文化

最初につくったダッシュボードが「正解」とは限りません。

実際に使う中で出てくる声や気づきを反映して、進化させていくことが大切です。

たとえば、「このグラフは使っていない」「この数字も表示してほしい」といった現場の声を定期的にヒアリングし、反映する運用フローをつくる。

そうした改善のサイクルがあるだけで、「見られないダッシュボード」から「業務を支えるダッシュボード」へと変化していきます。

使いやすいものは、使われる。

BIダッシュボードも例外ではありません。

活用を“仕組み”として定着させることで、データに基づいた判断と行動が、組織に根づいていくのです。

8. ダッシュボードは“見るもの”ではなく“動かすもの”

「とりあえずダッシュボードを作ってみたけれど、いまいち効果が実感できない」

そんな声をよく耳にします。実はそこにこそ、ダッシュボード設計の本質があります。

ダッシュボードの目的は、きれいに可視化することではなく、KPIを動かすこと。

つまり、数字を「見た」あとに、どう動くかまでを考えた仕組みにする必要があります。

KPIを“自走させる”ツールとして設計する

成果を出している企業のダッシュボードには、共通点があります。

それは、「見る→気づく→動く」が自然に流れる構成になっていることです。

たとえば営業部門なら、案件数や受注率、商談フェーズの進捗が連動して表示され、

「どのステージで詰まっているか」がひと目でわかる。

その気づきが、そのまま打ち手の見直しや行動修正につながっているのです。

このように、KPIを“自動的に動かす”ような設計を目指すことで、

ダッシュボードは単なるレポートではなく、現場を変えるツールになります。

型を知れば、社内でも成果を出せるダッシュボードはつくれる

成果につながるダッシュボードには、ある種の“型”があります。

「誰が、何のために、どんな行動をとるのか」を明確にし、

その意図に沿ってKPIを配置し、視線の流れや判断のステップまでを設計する。

それがダッシュボード設計の成功のコツです。

難しそうに見えるかもしれませんが、型を知ってしまえば再現は可能です。

最初は外部の知見を借りながら、少しずつ社内で設計・改善していくことで、

「使われるダッシュボード」が着実に社内に浸透していきます。

ダッシュボードは、見て満足するためのものではありません。

KPIを動かし、組織を動かすための“行動促進ツール”として設計しましょう。

そうすれば、BIは確実に業績に貢献する武器になります。

まとめ

KPIをただ“表示する”だけでは、組織の行動は変わりません。

成果を出す企業が共通して実践しているのは、「見る人が動きやすい構造」に落とし込まれたダッシュボードの設計です。

重要なのはこの3点です。

  • KPIを厳選し、“行動と直結する指標”を選ぶこと
  • 意思決定のために“見るべき順番”を意識した構成にすること
  • 定例会議や日々の業務と“セットで使う”設計にすること

BIは“見える化の終点”ではなく、動く組織へのスタート地点

ダッシュボードを通じてKPIが動けば、現場も経営も変わります。

まずは1枚、自社に合った“型”を取り入れてみてください。

その1クリックが、次のアクションを生む起点になります。

Amazon QuickSight導入支援はこちら

お電話でのご相談・お問い合わせ
0120-063-003
受付時間 10:00〜19:00
※土日祝日除く