「BI(ビジネスインテリジェンス)って聞いたことはあるけど、自社に必要なのかわからない」

「そもそも難しそうで、導入するのが不安」

そんな悩みをお持ちの方は少なくありません。

実際、BI導入は一部の専門チームだけでなく、現場全体の“行動”につながる仕組みとして活用されてこそ、はじめて価値を発揮します。

本記事では、初めての方でも安心して始められるBI導入の基本ステップを、できる限りシンプルに解説。

特に、Amazon QuickSightを活用した導入のコツについても触れながら、迷わず一歩を踏み出すためのヒントをお届けします。

こんな方におすすめ

  • Excel集計に限界を感じている経営層・部門長の方
  • 「BIに興味はあるけど動けていない」DX推進担当者
  • システム投資の効果を早く実感したい方

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1. BI導入がうまくいかない企業には共通点がある

BIを導入した企業の多くが直面する課題のひとつが、「思ったほど現場で使われない」という壁です。

高機能なツールを導入しても、活用されずに終わってしまうのはなぜでしょうか。

ツールを入れても“使われない”理由

原因の多くは、技術的な問題よりも「導入プロセスの設計不足」にあります。

たとえば、こんなケースがよく見られます。

  • 「とりあえずBIを入れよう」と上層部が判断し、現場のニーズを確認しないまま導入が進む
  • 現場メンバーに研修が十分に行き渡らず、「難しそう」「触っていいのかわからない」という空気が生まれる
  • ダッシュボードはあるが、更新されずに放置されている

BIツールは、導入しただけでは価値を生みません

むしろ、導入後に「どう使ってもらうか」「どう浸透させるか」が、成果を左右します。

成功のカギは「導入前」の準備にある

実は、BI導入を成功させている企業には、共通した準備ステップがあります。

それは、「目的の明確化」と「小さな成功体験の設計」です。

いきなり全社展開を目指すのではなく、まずは特定の課題に絞って成果が見えやすいプロジェクトから始める。

そして、利用者の声を拾いながら改善を重ねていく。

このサイクルを回すことが、BIが社内に根づく土台となります。

「何のために、誰のために導入するのか」を言語化する。

それだけでも、BIの定着率は大きく変わってきます。

2. 導入前にまず決めるべきこと

BIを導入するとき、多くの企業が「どのツールを選ぶか」から考え始めます。

しかし、本当に重要なのはツールの選定よりも、その前の“設計”です。

目的が曖昧なまま導入を進めると、現場が混乱し、結局使われなくなってしまう。

そんな失敗を防ぐために、導入前に確認しておくべき3つのポイントを紹介します。

なぜ導入するのか?目的の言語化

まず最初に考えるべきは、「なぜBIを導入するのか」という目的の明確化です。

売上の可視化をしたいのか、部門間の業務をスムーズにしたいのか。

目的がはっきりすれば、ダッシュボードに何を表示するべきかも自然と見えてきます。

この段階で目的が曖昧なままだと、「とりあえず使ってみる」という姿勢になってしまい、定着せずに終わることも少なくありません。

社内で合意のとれる“言葉”に落とし込んでおくことが何より重要です。

誰が使うのか?主担当と関係者の明確化

BIは全社的に活用されるツールである一方で、最初に誰が使うかははっきり決めておく必要があります。

「担当は情報システム部門に任せればいい」ではなく、実際に現場で使う人が誰かを特定することが大切です。

導入直後のフェーズでは、主担当がダッシュボードの更新や意見集約を担う場面も多くあります。

また、経営層や現場マネージャーなど、意思決定に関わる人たちを早い段階で巻き込むことも、導入成功のカギになります。

何を見たいのか?KPI・指標の整理

BI導入は、データを“見える化”することがゴールではありません

行動に変化を起こすためには、「どの数字を見て、どんな判断をしたいのか」をはっきりさせておく必要があります。

たとえば営業部門であれば、週ごとの案件数や受注率が重要かもしれません。

製造業であれば、ライン別の稼働率や不良率がKPIになるでしょう。

現場ごとに本当に必要な指標を洗い出し、無理のない形で整理しておくことで、BIの導入後もスムーズに運用できます。

3. 最初のステップ①:使いたいデータを洗い出す

BIの導入において、最初に取り組むべきは「どのデータを使うか」の整理です。

ここがあいまいなままだと、設計や構築の段階で手戻りが発生しやすくなります。

すでに社内には多くの情報が存在しているはずです。

それらを一度見直すことで、BIで“何を見える化するか”の輪郭がはっきりしてきます。

すでに社内にあるExcelやシステムを棚卸し

まずは、現場で普段使っているExcelファイルや既存システムの一覧を洗い出してみましょう

たとえば、売上報告書、月次の進捗管理表、在庫一覧など。

「これは毎回作るのが面倒」「見るたびに形式がバラバラ」といった声が上がるものは、BIで自動化・統一するのに最適です。

業務の現場に最も近い人たちにヒアリングすることで、意外な重要データが見つかることもあります。

データの質と連携可能性をざっくり確認

次に確認したいのが、データの質と、他システムとの連携のしやすさです。

たとえば、入力ミスが多い、フォーマットが統一されていない、手作業で集計しているなど、課題があれば事前に把握しておくことが重要です。

また、クラウド型の業務システムやCSV出力が可能なツールであれば、BIとの連携も比較的スムーズに進みます。

この段階では、完璧な精査までは不要です。“使える見込みのあるデータ”を大まかに把握しておくことが、次の設計フェーズを楽にします。

5. 最初のステップ③:仮ダッシュボードを作って触ってみる

BIツールは、事前にすべてを設計してから始めるよりも、まず手を動かしてみることが何よりの近道です。

はじめの段階では、「この形が正解」というものはありません。

むしろ、仮のダッシュボードを作って試行錯誤する過程こそが、BI導入の本質ともいえます。

BIツールは“触って覚える”のが基本

ダッシュボードの作成は、難しく考える必要はありません。

たとえば、売上データや問い合わせ件数など、すでに持っているシンプルな表をグラフにしてみるだけでも十分です。

実際に目で見て、動かしてみることで、「ここにもう1つ項目を足したい」「週別の推移がわかるようにしたい」といった具体的な改善点が自然と浮かび上がってきます

BIツールは、そうした発見の積み重ねで完成度を高めていくものです。

テンプレートや無料プランを活用しよう

初めてBIに触れる方にとって、ゼロから作るのはハードルが高く感じるかもしれません。

そこで役立つのが、各BIツールに用意されているテンプレートやサンプルデータです。

たとえば、Amazon QuickSightなどの主要ツールには、あらかじめ用意された分析テンプレートがあり、それをベースにカスタマイズすることで簡単にダッシュボードを試作できます

また、無料で試せるプランも多いため、まずは社内の関係者と一緒に「試してみる」ことから始めてみましょう。

「見る」だけでなく「触って試す」ことが、BIを“自分ごと化”する第一歩です。

6. 最初のステップ④:使ってみて改善ポイントを洗い出す

BI導入の成功には、「一度作ったら終わり」ではなく、使いながら育てていく視点が欠かせません。

仮に作ったダッシュボードが完璧でなくても、問題はありません。

むしろ、実際に使ってみて初めて見えてくる課題こそが、改善のヒントになります。

「見づらい」「使いにくい」はむしろ歓迎

ダッシュボードを見た現場の声として、「色の区別がわかりづらい」「この指標は毎回見ない」などの意見が出ることがあります。

一見ネガティブに感じるかもしれませんが、こうしたフィードバックは非常に貴重です。

なぜなら、使う人の目線での課題が浮き彫りになることで、本当に役立つダッシュボードに近づけるからです。

改善すべきポイントが出てきたら、「導入がうまくいっていない」のではなく、“前に進んでいる証拠”と捉えてください。

改善→再設計→定着のサイクルを意識する

BI導入における理想的な流れは、改善→再設計→定着というサイクルをまわすことです。

1回で完璧を目指すより、使ってみた中で見えた課題に対し、少しずつ手を加えていくほうが、結果として現場にフィットした形に育ちます。

たとえば、週次で更新する必要があるデータを自動化したり、よく使うグラフをトップに置いたりするだけでも、利用頻度や満足度が大きく変わってきます

BIは、“作って終わり”ではなく“改善して育てる”もの。

だからこそ、使いながらアップデートする前提で運用していくことが、社内定着と業務改善の両方につながる近道です。

7. 最初のステップ⑤:少人数で“定着”までやり切る

BIの導入で成果を出すには、「定着するまで運用しきる」ことが大切です。

そのためには、はじめから全社に展開しようとするよりも、少人数のチームで成功体験をつくるほうが圧倒的に効果的です。

試して終わりにならず、使い続ける習慣を根づかせること

このステップこそ、BI導入の成否を分けるポイントになります。

チームで「毎週見る」習慣をつくる

BIが業務の中に溶け込んでいる企業の共通点は、“見ること”がチームの当たり前になっていることです。

たとえば、毎週の営業会議でダッシュボードを必ず開く、週次のレポートをBI画面で確認する、といったルーティンがあると、BIは自然と使われるようになります。

「誰かが見る」ではなく、「みんなで見る」という状態を目指しましょう。

継続的に使われてこそ、BIは真の力を発揮します。

定例やミーティングと連動させて定着を促進

習慣化を促すには、すでに社内にある定例会議や報告の場とセットで使うのが効果的です。

たとえば、「週次ミーティングではこの画面を使って話す」と決めてしまえば、BIを見ない理由がなくなります。

さらに、ミーティングの中で「この数値が上がってるのはなぜか」といった議論が生まれるようになると、BIが“業務を動かす道具”として根づいていきます

導入の成否は、技術よりも運用設計とチーム内の習慣づくりにかかっています。

まずは少人数でも構わないので、最後まで“使い続ける形”をつくってみてください。

8. よくあるつまずきポイントとその回避法

BI導入の初期段階では、うまくいかないことがあって当然です。

しかし、多くの企業が同じような壁にぶつかっているのも事実。

あらかじめよくあるつまずきポイントを知っておくだけで、無駄な遠回りを避けることができます

ここでは、BI導入時によく見られる課題と、その具体的な回避策を紹介します。

データが足りない/連携できない

BIを始めようとしたとき、「そもそも必要なデータが集まらない」という悩みはよくあります。

手作業のExcel管理や、複数のシステムにまたがる情報など、現場には意外と“整っていないデータ”が多いのが現実です。

こうした場合は、いきなり完璧を目指すのではなく、出せる範囲のデータから始めることが重要です。

一部のCSVデータだけでも、まずは可視化してみる。

その小さな一歩から改善サイクルが回り出し、徐々に連携範囲を広げていく流れが理想です。

指標が多すぎて何を見ればいいかわからない

BIツールの導入と同時に、さまざまなKPIや指標を盛り込みすぎてしまい、かえって現場が混乱するケースも少なくありません。

「結局どこを見て判断すればいいのかがわからない」という声が上がりやすくなります。

この課題を防ぐには、目的に直結する指標だけに絞り込むこと。

たとえば、営業なら「受注数」「リード数」、カスタマーサポートなら「対応件数」「平均対応時間」など、日々の判断に使う数字だけを最初に表示するのが効果的です。

見せたい情報ではなく、“使う情報”に絞ることが成功のポイントです。

ツールが難しくて使われなくなる

BIツールそのものの操作が難しく、現場に定着しないという悩みもよく耳にします。

特に、ITに不慣れなユーザーにとっては、使い方がわからない=使わなくなるという流れになりがちです。

これを避けるには、事前のレクチャーやハンズオン体験の場を用意することが効果的です。

また、ダッシュボードの構成自体も複雑にしすぎず、「見るだけで意味がわかる」ように設計することを意識しましょう。

ツールの優秀さよりも、“使いやすさ”と“続けやすさ”を重視することで、自然と社内に浸透していきます。

9. 成功のコツは“完璧より小さな成功”

BI導入を成功させている企業の多くは、最初から大きな成果を狙っているわけではありません。

むしろ、「まずはやってみる」「小さく成果を出す」ことに徹しているのが共通点です。

完璧な設計図やデータ整備が揃ってから始めようとすると、時間ばかりがかかって前に進まなくなってしまいます。

BIは、使いながら改善していける“成長型のツール”であることを忘れないでください。

小さく始めて、使いながら育てる

最初からすべてを網羅しようとせず、まずは一部の業務に絞ってスタートしてみましょう。

たとえば営業部門だけ、週報だけ、ひとつのKPIだけ。

このように“スモールスタート”を意識することで、手応えのある結果が早く得られます。

その結果をもとに、他部署への展開やKPIの追加を進めていけば、無理なく全体に広がっていきます。

BIは、完璧を目指すより、まずは使われる状態を作ることが最優先です。

最初の一歩こそ、BI導入最大の分かれ道

導入を検討している企業が最も多くつまずくのが、「最初の一歩を踏み出せない」という段階です。

情報を集めて、計画を立てて、それでも「まだ早いかも」と感じているうちに、現場の関心が薄れてしまうケースもあります。

どんなに小さな取り組みでも、実際に動き出すことが最大の突破口になります。

完璧でなくていい。むしろ未完成でもいい。

小さな成功が生まれれば、現場に自信が生まれ、BIが業務の中で息づいていきます。

“やってみたら使えた”という実感こそが、BI導入を軌道に乗せる何よりの推進力です。

まとめ

BI導入は、“特別な人だけが使うツール”ではなく

誰もがデータを活かして判断し、行動するためのインフラです。

最初のステップでつまずかないためには、次の3つがポイントです。

  • 完璧を目指さず、小さく始めること
  • 現場の課題に直結するテーマから着手すること
  • スピード感のあるツール(たとえばQuickSight)を選ぶこと

BIは、一部の分析レポートを「眺める」だけで終わってはいけません。

本当に価値が出るのは、データが“行動”につながったとき。

だからこそ、最初の一歩をシンプルに、スムーズに踏み出すことが何より重要です。

BI導入に迷っている方こそ、ぜひこのガイドを活用してみてください。

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