久しぶりにCodex CLIで /model を実行したところ、候補が想定より増えていました。Sol、Terra、Luna、それにSparkという名前が並んでいます。少し前まではモデル名に codex が入っていたはずで、その記憶のまま探したのですが見つかりません。

前提として、私は普段Claude Codeを使っていて、Codexは比較検証で触る程度です。それでも「どれを選べばいいのか分からない」状態で /model を眺めるのは落ち着かないので、公式ドキュメントを読んで整理しました。

実際に各モデルで長時間動かして比較した記事ではなく、ドキュメントを読んで自分の理解を整理した内容です。

2026年8月時点のラインナップ

Codexのモデル一覧ページに載っているのは、推奨4件とレガシー3件でした。

推奨されているのは以下です。

モデルID 位置づけ
gpt-5.6-sol フラッグシップ。複雑なコーディング、computer use、リサーチ、セキュリティ
gpt-5.6-terra 日常的な作業向けのバランス型。GPT-5.5と競合する性能を低コストで
gpt-5.6-luna 高速かつ安価。明確で反復的なタスク向け
gpt-5.3-codex-spark テキスト専用のリサーチプレビュー。リアルタイム編集向け(Proのみ)

レガシー扱いは gpt-5.5gpt-5.4gpt-5.4-mini の3件です。

このうち gpt-5.4gpt-5.4-mini は、2026年8月31日にCodexから引退します。ChatGPTアカウントでサインインしている場合、それぞれ gpt-5.6-terragpt-5.6-luna に置き換わるとドキュメントに書かれています。

確認しておきたいこと
config.toml やプロジェクト固有の設定ファイルに、gpt-5.4 または gpt-5.4-mini を固定で記述していないか確認しておいたほうがよさそうです。

今月末という日付を見て少し焦りました。config.tomlgpt-5.4 を書いたまま放置しているプロジェクトが手元にないかを確認しましたが、幸い該当はありませんでした。

Sol / Terra / Lunaという命名

ここで最初に引っかかりました。

GPT-5.6は2026年7月9日にChatGPT、Codex、APIへ同時にロールアウトされたのですが、その際に命名が変わっています。数字が世代を表し、Sol・Terra・Lunaが能力のティアを表す。ティアは世代とは独立して進化しうる、という構造です。

つまり gpt-5.6-codex のような「Codex専用モデル」を探していた私の前提が古かったわけです。

gpt-5.3-codex は既に非推奨になっていて、コーディング特化のチューニング済みモデルという枠は汎用モデル側に吸収されたように見えます。名前に codex が残っているのは、後述するSparkだけです。

命名規則の整理
gpt-5.6-sol の「5.6」が世代、「sol」が能力ティアを表します。用途ごとに別モデルを探すというより、世代とティアを組み合わせて選ぶ構造です。

この「世代 × 能力ティア」という構造は、Anthropic側のOpus / Sonnet / Haikuとほぼ同じ考え方だと感じました。

順序が逆(claude-opus-5gpt-5.6-sol)なだけで、到達している整理は近い。少し前まではOpenAI側が用途特化モデルを分けていて、Anthropic側が汎用モデルのティア分けだったので、そこが揃ってきたことになります。

APIの価格は100万トークンあたり、Solが入力5ドル / 出力30ドル、Terraが2.50ドル / 15ドル、Lunaが1ドル / 6ドルです。

ティア 入力 出力
Sol 5ドル / 100万トークン 30ドル / 100万トークン
Terra 2.50ドル / 100万トークン 15ドル / 100万トークン
Luna 1ドル / 100万トークン 6ドル / 100万トークン

Codex内で使う場合は基本的にプランのallowanceを消費するので、この価格差はそのまま「同じ枠でどれだけ回せるか」の差になります。

reasoning effortが6段階ある

モデル選択と別に、思考量を指定する軸があります。ドキュメントに載っていた段階は以下の6つでした。

段階 位置づけ
Low 軽い推論で高速に応答
Medium 速度と推論の深さのバランス。デフォルト
High 複雑な問題向けに深く推論
Extra High さらに深い推論
Max 最も難しい問題に対する最大の推論
Ultra 最大の推論に加え、タスクの自動委譲(サブエージェント)

Low〜Maxまでは連続した1本の軸ですが、Ultraだけは性質が違うと感じました。

分割可能な作業をサブエージェントに割り当てて並列実行する、という挙動です。デフォルトで4つの並列エージェントが動くという報告も見かけました。

Ultraは単なる「Maxの上」ではない
Ultraは「もっと深く考える」というより、「タスクを分割して手を増やす」設定です。高いeffort、長い会話履歴、大きなリポジトリ、ツール実行、サブエージェントが重なると、allowanceの消費が急激に増える可能性があります。

これは「もっと考える」ではなく「手を増やす」なので、思考の深さの延長線上に並べるのは少し無理がある気がします。

実際、Sol × Ultraでセッションを回すとallowanceの消費が想定以上に速い、という報告がGitHubのissueに上がっていました。大きなリポジトリ、長い会話履歴、高いeffort、ツール、並列サブエージェントが重なると一気に減る、という内容です。

Claude Code側にも /effort があり、low / medium / high / xhigh / maxの5段階です。名前も並びもほぼ同じで、xhighがExtra Highに対応します。

違いはUltraに相当する段階がない点で、Anthropic側はサブエージェントをeffortの一段階ではなく、Taskツールや別機能として分けています。

どちらが良いという話ではないのですが、「effortを上げる」という同じ操作が並列実行まで含むかどうかは、コストの読みやすさに直結するので気にしておきたいところです。

Codex-Sparkは別枠

gpt-5.3-codex-spark は、他の3つとは目的が違います。2026年2月12日に発表されたリサーチプレビューで、リアルタイムのコーディングに特化しています。

  • テキスト専用。画像は扱えない
  • コンテキストは128K
  • ChatGPT Proユーザー限定
  • 超低遅延ハードウェア上で1000トークン/秒以上

Cerebrasとの提携による最初のプロダクトで、Wafer Scale Engine 3上で動くとのことです。

関数を書き換える、ロジックを直す、UIを微調整する、といった細かい往復を止めずに回すための位置づけだと理解しています。

Claude Codeの/fastとの違い

ここもClaude Code側と対比すると面白いところで、Anthropicには /fast があります。

こちらはOpus 5をそのまま最大2.5倍の出力速度で動かすもので、モデルの中身は変わりません。

専用ハードウェアに小型モデルを載せるOpenAIのアプローチと、同一モデルの出力を高速化するAnthropicのアプローチで、同じ「速さが欲しい」に対する解き方が異なっています。

項目 Codex-Spark Claude Code /fast
方式 速度特化の別モデル 同一モデルの高速出力
基盤 専用の超低遅延ハードウェア 通常モデルの高速モード
対象 Pro限定 Opus 5、4.8など一部モデル
状態 リサーチプレビュー 限定提供・プレビュー相当

ただしどちらもプレビュー扱いで、SparkはPro限定、/fast はOpus 5と4.8限定です。常用を前提に設計を組む段階ではないと思います。

自分なりの使い分けの目安

ドキュメントの記述と、Claude Codeでの感覚を踏まえた現時点の整理です。実測に基づくものではないので、目安として書いておきます。

Solを選ぶ場面

  • 複数ファイルにまたがる設計変更、大きめのリファクタリング
  • 原因が特定できていないバグの調査
  • 長時間の自律実行を前提としたタスク

Terraを選ぶ場面

  • 日常的な実装、テスト追加、レビュー
  • 迷ったときの既定値
  • まずTerraから試し、足りなければSolに上げる運用

GPT-5.5相当の性能が低コストで得られるという位置づけなので、まずここから試して足りなければSolに上げるのが素直だと思います。

Lunaを選ぶ場面

  • 抽出、分類、変換といった手続きが決まっている作業
  • サブエージェント側の実行役
  • 大量に回す前処理

Sparkを選ぶ場面

  • 手元で細かく直しながら進める往復作業
  • 入力と修正を短いサイクルで繰り返したい場面
  • ChatGPT Proを利用している場合
effortの目安
まずはデフォルトのMediumで試し、難しいタスクでHighやExtra Highへ上げるのが妥当だと考えています。Ultraは並列実行が発生するため、消費量を確認できる状態で使ったほうが安全です。

Claude Codeと並べて気づいたこと

比較して整理すると、両者の構造がかなり近いことが分かります。

比較項目 Codex Claude Code
命名 世代 + ティア(gpt-5.6-sol ティア + 世代(claude-opus-5
上位 Sol Opus 5 / Fable 5
中位 Terra Sonnet 5
下位 Luna Haiku 4.5
思考量 low〜max + ultra(6段階) low〜max(5段階)
速度特化 Codex-Spark(別モデル+専用HW) /fast(同一モデルの高速出力)
モデル切替 /model-mconfig.toml /model

「モデル選択」と「思考量」の2軸で構成されている点は共通です。

以前は上位モデルを選べば深く考える、という1軸に近い感覚でしたが、今は独立した2つのつまみになっている。この構造を理解していないと、LunaにMaxを指定するような、噛み合わない組み合わせをしてしまいそうです。

上位モデルの価格帯は思ったより近い

もう一点、価格を並べて気づいたのは、上位モデルの位置がずれていることです。

Solが入力5ドル / 出力30ドルに対して、Opus 5が入力5ドル / 出力25ドル。ほぼ同じ帯です。

一方でAnthropicにはさらに上のFable 5があり、価格は入力10ドル / 出力50ドルです。

Codex側のSolは、価格帯としてはOpus 5に近い。「フラッグシップ同士」として比べると、想定より近い位置にいることになります。

所感

調べる前は「モデルが増えて分かりにくくなった」と思っていたのですが、整理してみると増えたのはむしろ選択肢の見通しでした。

用途特化モデルが乱立する方向ではなく、世代 × ティア × 思考量という直交する軸に収束している。両社が別々に同じ形にたどり着いているのは、この分け方が実務的に扱いやすいということなのだと思います。

一方で、Ultraのようにサブエージェント委譲まで含む段階が「思考量の一段階」として並んでいるのは、コストの見積もりを難しくしている気がします。

名前の並びから「Maxの少し上」と読んでしまいますが、実際には別の軸だと理解しておいたほうがよさそうです。

次に確認したいこと
同じタスクをSolとTerraで実行し、結果の差とallowanceの減り方を比較したいと思っています。ドキュメント上の「GPT-5.5と競合する性能」が、手元のコードでどの程度再現されるかを確認する予定です。

それと、/model の設定を config.toml に固定しているプロジェクトは、2026年8月31日までに見直しておく必要があります。

参考

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。もしこの記事の技術や考え方に少しでも興味を持っていただけたら、ネクストのエンジニアと気軽に話してみませんか。

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