本記事では、「生成AIをうまく使いこなすコツ」として注目される“プロンプト”について解説します。ChatGPTやClaudeなどを使っていて「思ったような出力が返ってこない…」と感じたことはありませんか?
それ、実はプロンプト(入力の指示)の書き方に原因があるかもしれません。ここでは、プロンプトの基本から、効果的な入力のコツ、実際の業務に使える具体例までを初心者向けにやさしく紹介します。
こんな方におすすめ
- ChatGPTなどを使い始めたばかりの方
- もっと思い通りの出力を得たい方
- 業務効率化のためにAI活用を検討している方
ネクストでは、これまで500社を超えるお客様の生成AI導入を支援してきました。
よくある課題のひとつが「どう入力すればAIがうまく動くのかわからない」という悩みです。
まずは正しい知識を身につけることで、生成AIは強力な業務パートナーになります。
導入を検討されている方は、ぜひご覧ください。
1. 「プロンプトが大事」と言われるけど、それって何?
ChatGPTなどの生成AIを使うとき、「プロンプトが大事」「入力の仕方で結果が変わる」とよく言われます。
でも、そもそもプロンプトって何のことなのか、具体的にどう書けばいいのか、よくわからないという声も少なくありません。
生成AIは、ただ質問を投げれば正確な答えが返ってくるものではなく、こちらの伝え方(プロンプト)次第で大きく出力が変わるツールです。
だからこそ、基本的な考え方や入力のコツを知っておくだけで、結果の質や使いやすさが劇的に変わります。
ここでは、プロンプトの意味や役割をかんたんに整理しながら、具体的な入力例とともに、日常業務で活かせる実践ポイントを紹介していきます。
2. 良いプロンプトと悪いプロンプトの違い
生成AIの出力精度は、「どんな指示を出すか」で大きく変わります。
プロンプトの書き方があいまいだと、AIもあいまいにしか応えてくれません。逆に、具体的な条件を示すと、狙った形に近い答えを返してくれます。
抽象的なプロンプトは伝わらない
例えば、「うまく説明して」というような指示では、AIがどう応えればよいか判断できません。
言葉としては成り立っていても、「誰に向けて」「どれくらいの長さで」「どんな語調で」などが決まっていないため、出力内容がブレてしまいます。
具体的なプロンプトは精度が高い
一方、「小学生にも伝わるように、3行で説明して」というように条件が明確なプロンプトなら、AIはその意図を汲み取りやすくなります。
対象読者・長さ・文体などを伝えることで、出力の内容も自然と目的に近づきます。
良いプロンプトは「成果の出る使い方」の第一歩
プロンプトの質は、生成AIの使いやすさと直結しています。
まずは抽象的な指示と具体的な指示で結果がどう違うかを、実際に体験してみるのが理解への近道です。
3. 基本のコツ① 目的・条件・制約をしっかり伝える
プロンプトの精度を上げるための基本は、「何を」「どういう形で」「誰向けに」出力してほしいかを明確にすることです。
AIは与えられた指示に忠実に従うため、曖昧な条件だと求める成果物にはなりません。
例:「商品説明文を300文字で、初心者向けにやさしく」
このように、文字数・読者層・トーンを指定することで、出力の方向性が一気に絞られます。
たとえば、「上級者向け」「専門用語を避ける」「箇条書きで」なども追加できれば、さらに明確になります。
出力の長さ・文体・読者を意識する
- 長さ(例:300文字以内、3行で、など)
- 文体(例:ですます調/口語/フォーマル)
- 読者像(例:初心者向け、経営層向け、中学生にもわかるように)
こうした条件を足すだけで、AIが選ぶ言葉や構成がグッと実用的になります。
数字や形式で“出力の形”を制御する
たとえば「5つのポイントを箇条書きで」や「タイトル+本文で構成して」など、形式まで具体的に伝えることで、アウトプットの形が理想に近づきます。
プロンプト設計では、この“出力の型”を指定する力が非常に重要です。
4. 基本のコツ② 「あなたは〇〇です」と役割を与える
生成AIは「どんな立場で答えるか」によって、出力内容のトーンや精度が大きく変わります。
そこで有効なのが、「あなたは〇〇です」というロール(役割)指定です。
例:「あなたはプロの編集者です。以下の文章を読みやすく整えてください」
このように伝えることで、AIは編集者としての視点で文章の構成・語尾・論理展開を意識して整えてくれます。
逆に、役割を与えないと、中途半端な視点で出力されることが多くなります。
ロール指定で「専門性」や「視点」が加わる
役割を明示することで、以下のような特性が加わります。
- プロの編集者:文章構成を整える/読みやすくする
- マーケティング担当者:訴求力のある提案を行う
- プログラマー:コードの出力やコメントが的確になる
- 人事担当者:採用向けの文面や評価コメントが自然になる
ビジネス文書や専門領域で特に効果的
社内メール、提案書、説明文など、“誰が書くか”によって内容が大きく変わる文章には、ロール指定が必須とも言えます。
「あなたは営業部長です」「あなたは採用担当です」といった指定も、実務でよく使われます。
役割を与えるだけで、AIの出力は一気に“プロっぽく”なります。
プロンプト作成では、この視点の切り替えが成功のカギです。
5. 基本のコツ③ 出力の例を見せると近づけてくれる
生成AIに「こういうふうに出力して」と伝えるとき、言葉だけではイメージを共有しにくいことがあります。
そんなときに有効なのが、「出力の例(フォーマット)」をあらかじめ提示することです。
例:「こういう形式でまとめてください」
たとえば、以下のように具体的な形を先に見せることで、AIはその形式に近い出力をしてくれます。
【タイトル】
・ポイント1
・ポイント2
・ポイント3
このようなお手本付きのプロンプトを使えば、箇条書き・表形式・見出し構成など、希望のレイアウトに沿った結果が得られやすくなります。
“形式”の共有が、精度と使いやすさを上げる
- 要点を箇条書きでまとめたいとき
- プレゼン資料の構成を考えたいとき
- Web記事の見出し+本文形式にしたいとき
こうした場合に、事前に「この形で」と具体例を出すだけで、手直しの手間が減り、狙った出力に近づきます。
決まったフォーマットがある業務と相性が良い
報告書・提案書・商品説明文など、定型の型がある業務ではとくに効果的です。
「何を書けばいいか」ではなく、「どういう形で出すか」を伝えることが、プロンプトの完成度を大きく左右します。
例を見せる。それだけで、AIは“ちょうどよい出力”に一歩近づいてくれます。
6. コツ3選を抑えた基本のプロンプト
あなたはプロのコピーライターです。
以下の条件をもとに、商品紹介文を作成してください。
• 目的:オンラインショップの商品ページに掲載する説明文
• 対象読者:商品に興味はあるが、まだ購入に迷っている初心者ユーザー
• 文体:やさしく、親しみのあるトーンで
• 制約:300文字以内
• 出力形式:以下の例のように、1段落で簡潔にまとめてください
【出力例】
軽くて持ち運びやすいのに、たっぷり入る大容量。通勤・通学はもちろん、休日のレジャーにもぴったりなバッグです。シンプルなデザインなので、どんなファッションにも合わせやすく、毎日使いたくなるアイテムです。
このような構成でプロンプトを設計すると、AIにとって迷いのない入力となり、期待に近い出力が得られやすくなります。用途に応じて、数字(文字数や件数)や例文、出力形式を調整してください。
プロンプト改善の実例集
「うまく出ない」「思ったのと違う」――そんなときは、プロンプトの書き方が原因かもしれません。
ここでは、よくある“うまくいかないプロンプト”と、それを効果的に書き換えた改善例を紹介します。
❌️「営業メールを書いて」
あなたは法人営業を担当する経験豊富な営業パーソンです。
以下の条件で、新規顧客向けの営業メール文を作成してください。
• 目的:初回接触のきっかけとなる営業メールを送る
• 商品/サービス:中小企業向けのクラウド会計ソフト
• 対象読者:経理業務の負担を感じている中小企業の経営者
• トーン:丁寧かつ親しみやすく
• 制約:200文字以内、1〜2文程度
• 出力形式(例):
【出力例】
経理業務の時間を削減しませんか?中小企業向けのクラウド会計ソフトを提供しています。1か月無料でお試しいただけますので、ぜひお気軽にご相談ください。
このように、目的・条件・制約を明確にし、ロールを与え、出力の形式例を見せることで、実務に使える営業メールが安定して生成されやすくなります。
❌️「文章をまとめて」
あなたは読みやすい文章に整えるプロの編集者です。
以下の文章を 初心者にもわかりやすく、要点を3行に要約してください。
内容を正確に残しつつ、専門用語はやさしい言葉に言い換えてください。
【要約形式の例】
• 〇〇は△△という仕組みで動いています。
• 主なメリットは□□です。
• 初心者でも簡単に使えます。
原文:
(ここに要約したい文章を貼り付け)
このように「誰向けか」「目的(要約)」「文字数や行数」「ロール(編集者)」を指定し、「例」を提示することで、AIの出力が期待通りになりやすくなります。
❌️「説明して」
あなたは中学生にもわかるように説明するプロの講師です。
次のテーマについて、たとえ話を交えながら、図解するような口調でやさしく説明してください。
1分で読める長さ(300〜400文字程度)でお願いします。
【例】
テーマ:クラウドとは何か
このように伝えることで
- 目的・制約:「中学生にも」「1分で読める」「図解っぽく」
- ロール指定:「プロの講師」
- 形式例:「たとえ話を交える」「図解口調」
といった要素が加わり、AIが精度の高い説明を出しやすくなります。
このテンプレートを使えば、「専門的なことをわかりやすく説明したい」すべての場面で応用できます。
こうした改善例をもとに、自分の業務や目的に合った“プロンプトの型”を作っておくと、毎回のやり取りがスムーズになります。
プロンプトは、AIとの会話の設計図。
丁寧に書くだけで、出力の質と効率が大きく変わります。
7. プロンプト次第で生成AIは“まるで別物”になる
生成AIの出力は、入力したプロンプトの質に大きく左右されます。
「説明して」や「うまくまとめて」など曖昧な指示では、AIも曖昧な返答しかできません。逆に、目的・文字数・読み手などを明確に伝えるだけで、出力の精度がぐっと上がります。
たとえば、
- 「300文字以内で初心者向けにやさしく」
- 「あなたはプロ編集者です。読みやすく整えてください」
- 「この形式に合わせて、以下をまとめてください」
といった少しの工夫が、成果物の質も時短効果も劇的に変えるポイントになります。
テンプレート化されたプロンプトをいくつか用意しておくと、日々の業務で“すぐ使えるツール”として活用しやすくなります。
まずは、自分の仕事でよく使うシーンをもとに、ひとつプロンプトの型を作ってみましょう。
まとめ
本記事では、生成AIを効果的に使うための“プロンプト”の考え方と実例を紹介しました。
出力の質は、入力であるプロンプト次第です。あいまいな指示ではあいまいな答えが返り、具体的な指示を与えるほど精度は高くなります。
まずは自分の使いやすいテンプレートを作り、少しずつ改善していくことが上達への近道です。
「初めての生成AI」では、今後もビジネス現場で役立つAI活用術をわかりやすく発信していきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。