生成AIは「使い方次第で業務が大きく変わる」と言われますが、実際にどの仕事でどう活用できるのか、イメージが湧きにくい方も多いのではないでしょうか。

本記事では、営業・人事・カスタマーサポートという3つの職種に絞って、現場で使える具体的な生成AIの活用例を10個紹介します。

すぐに試せる業務改善のヒントとして、ぜひご活用ください。

こんな方におすすめ

  • 営業・人事・CSの業務を効率化したい方
  • 生成AIを自社にどう活用できるか検討している方
  • 属人化や作業負担を軽減したいと感じている現場責任者の方

ネクストでは、これまで500社以上の企業を支援してきました。

業務プロセスの中に生成AIをどう組み込むか、その最初の一歩として、職種別の具体例から学ぶことが有効です。

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1. 生成AIは“現場の業務”こそ一番効果が出やすい

生成AIは、単なる先進技術や研究開発向けのものではありません。

むしろ、日々の現場業務にこそ大きな効果をもたらすツールです。

実際には「現場での作業時間が削減された」「報告書作成が自動化された」「属人化していた対応が標準化できた」といった声が多く、特別なシステム開発を行わずとも、導入初日から実感できるメリットがあります。

特に営業や人事、カスタマーサポートなど、日々膨大な情報を扱う部門では、生成AIの活用によって効率化と品質向上を同時に実現できます。

2. 【営業編】提案力と事務処理の効率を両立する活用例

営業部門では、提案の質と事務処理のスピードを両立させることが成果に直結します。生成AIを活用することで、その両方を効率化できます。

商談前の情報収集を自動要約

顧客の企業サイトや業界ニュース、過去のメール履歴などを自動で読み取り、要点を短く整理できます。事前準備の時間を削減しつつ、より的確な提案が可能になります。2025年5月時点ではよく使用されるメールサービスのうち、GmailにはGemini、Microsoft365にはCopilotが搭載されています。

提案メール文案の作成

顧客の業種や過去のやりとりに合わせて、トーンや表現を調整したメール文案を自動生成できます。営業担当者は微調整だけで済むため、対応スピードが向上します。

あなたは営業担当者です。
以下の情報をもとに、BtoB向けの提案メール文案を作成してください。
文面は顧客にとって自然で、過去のやり取りに配慮したトーンにしてください。

【目的】生成AIの業務活用提案  
【顧客業種】製造業  
【過去のやり取り】生成AIに関心はあるが導入経験なし  
【文字数】300文字以内  
【トーン】丁寧かつ前向きな印象

営業日報の自動作成

会話内容をメモするだけで、整った報告書の下書きが完成します。文章の整形や形式調整も自動で行われ、報告にかかる時間が大幅に短縮されます。

あなたは営業日報を作成する業務アシスタントです。
以下の箇条書きメモをもとに、社内報告用の営業日報を整った文章にしてください。
形式は「概要」「商談内容」「次回対応」の3項目に分けて出力してください。

【メモ】
- 4/12 ABC社と打ち合わせ
- 問題点は導入コスト
- 来週再提案予定
- 他部署の同席あり、関心度高い

提案資料のたたき台を顧客別に自動作成

過去の提案資料や商談記録をもとに、顧客に合わせた提案内容の初期案を作成できます。営業担当者は中身に集中しやすくなり、提案力の底上げが可能です。

あなたは法人営業担当者です。
以下の顧客情報をもとに、提案資料の1枚目に記載する「提案概要」部分の下書きを作成してください。
顧客の課題感に寄り添いながら、導入のメリットをわかりやすく伝えてください。

【業種】小売業  
【課題】EC部門の業務負荷が高く、問い合わせ対応に時間がかかっている  
【提案内容】生成AIを活用した問い合わせ対応の自動化  
【トーン】親しみやすく、専門用語は避ける

失注理由の分類と改善点の分析

失注時のヒアリング内容やCRMの記録をAIが分類・分析し、よくあるパターンや改善のヒントを抽出します。次の提案に活かすサイクルを効率化できます。

以下の失注メモを読み取り、よくある失注パターンごとに分類してください。
そのうえで、次回提案時に改善すべきポイントを3つ挙げてください。
表形式で出力してください。

【失注メモ】
- 初回提案時に価格への懸念が強かった
- 導入効果の具体性が不十分との指摘あり
- 他社に比べて実績紹介が少なかった
- 決裁者との接点が薄かったため社内提案が通らなかった

3. 【人事編】採用・育成・評価業務をスマートに進める活用例

人事部門では、文章作成や記録の整形、データ分析の場面で生成AIが高い効果を発揮します。属人化を防ぎつつ、業務の効率と精度を高めることが可能です。

求人票やスカウト文面を自動生成

職種やターゲットに応じて、トーンや文体を変えた求人票やスカウトメールを自動で作成できます。表現のバリエーションも出せるため、応募率の向上が期待できます。

あなたはIT業界に詳しい採用担当者です。
以下の条件に合わせて、求職者向けのスカウトメール文面を作成してください。
文体は親しみやすく、ポジティブな印象を与える内容にしてください。

【職種】Webエンジニア(バックエンド)  
【対象層】20代後半の転職検討層(経験3~5年)  
【会社の特徴】少人数の開発チーム、リモート可、フルスクラッチ開発  
【文字数】300文字前後  
【目的】求人情報への興味喚起、カジュアル面談への誘導

面接評価コメントの要点抽出と整形

面接官が記録した自由記述から、重要なポイントだけを抽出して整理できます。記録内容のばらつきや抜け漏れを防ぎ、評価基準の統一にもつながります。

あなたは採用チームの記録アシスタントです。
以下の面接官メモをもとに、評価コメントの要点を抽出・整形してください。
項目ごとに箇条書きで出力し、記述のばらつきがなく伝わりやすい内容にしてください。

【抽出する項目】
- コミュニケーション力  
- 技術スキル  
- 志望動機  
- 懸念点(あれば)

社内研修資料の下書きを作成

既存のマニュアルや過去資料をもとに、研修スライドや資料のたたき台を自動生成。要約や再構成も得意なため、準備時間を短縮し、内容の質も安定します。

あなたは社内教育を担当する人材開発チームの一員です。
以下の既存マニュアル内容をもとに、新人向けの研修スライド(PowerPoint用)の下書き案を作成してください。
各スライドに見出しと説明文、補足箇条書きをつけてください。

【テーマ】社内チャットのマナーと基本ルール  
【マニュアル内容】
- 社外の人を含む場合は敬語・丁寧な文体を徹底  
- スタンプだけの返信は避ける(上司・取引先向け)  
- 確認中の場合は「確認中です。少々お待ちください」と一言入れる  
- 誤送信が多いため、送信前に再確認する文化がある

エンゲージメントサーベイの自由記述を分類・分析

社員から集めた自由記述をカテゴリごとに分類し、傾向を可視化できます。数値だけでは見えにくい、組織の課題や声を把握しやすくなります。

あなたは人事部の分析担当者です。
以下の自由記述回答をカテゴリごとに分類し、各カテゴリの傾向や特徴をまとめてください。
カテゴリごとに回答数やキーワードの傾向も整理してください。

【出力形式】
1. カテゴリ名  
2. 回答数  
3. よく使われたキーワード  
4. 傾向の要約(100文字程度)

【分類カテゴリ例】
- 職場環境  
- 上司・マネジメント  
- 評価・報酬  
- 仕事内容・やりがい  
- コミュニケーション  
- キャリア・成長  

【自由記述回答】
- 新しい意見を出しても聞き入れられないことがある  
- リモートワークの制度はあるが、使いづらい雰囲気がある  
- 成果が反映される評価制度を明確にしてほしい  
- 他部署とのやりとりで情報共有にムラがある

フィードバック例文を部下ごとに生成

性格や評価内容に合わせて、フィードバック文を自動作成できます。言い回しや表現を柔軟に変えられるため、伝え方の工夫がしやすくなり、面談の質も向上します。

あなたはマネージャーです。
以下の部下情報に基づいて、評価面談で使うフィードバック文を生成してください。
文体は丁寧で前向きな印象を持たせるようにしてください。
指摘ポイントもポジティブな表現で伝えるように調整してください。

【部下情報】
- 名前:佐藤さん  
- 性格:真面目で慎重、指摘に対して落ち込みやすい  
- 強み:丁寧な資料作成と社内調整力  
- 改善点:優先順位の判断に迷う場面がある  
- 今期の成果:2件のプロジェクト完遂、社内研修の講師も担当

【出力条件】
- 300文字程度  
- 面談用にそのまま読める自然な文章  
- 最初に感謝と成果への言及 → 強みの具体化 → 改善点の提案 → 応援する一言で締める

4. 【カスタマーサポート編】対応の質とスピードを両立する活用例

カスタマーサポートでは、問い合わせ対応の正確さとスピードが求められます。生成AIはその両立を支援し、属人化の解消やナレッジ共有にも効果を発揮します。

問い合わせ履歴をもとにFAQ案内文を自動生成

蓄積された問い合わせデータを分析し、よくある質問とその回答を自動で整形。Webページやチャットボットの更新を効率化し、問い合わせ件数の削減にもつながります。こうした仕組みを簡単に実現できるのはGoogle NotebookLMです。NotebookLMは、Google Drive上の書類やさまざまなデータを読み込ませて、それらを学習済みかのように回答を生成することができます。※機密データの取扱いには十分に注意してください。

あなたはカスタマーサポートの担当者です。
以下の問い合わせ履歴から「よくある質問」と「回答文」を抽出し、FAQとしてWeb掲載できるように整形してください。

【出力形式】
Q. 質問文(わかりやすい言葉で)  
A. 回答文(敬語・丁寧語で約100文字)

【条件】
- 同じ内容の問い合わせはまとめて1件に集約  
- 専門用語は避け、やさしい表現を使用  
- 回答には「〜です」「〜ます」調で統一

【問い合わせ履歴】
- パスワードを忘れてログインできないのですが、どうすればいいですか?  
- IDとパスワードを間違えてアカウントロックされたようです  
- ログインできないときは誰に連絡すればいいですか?  
- ログインエラーが出る場合の対処方法を教えてください

顧客の感情トーンに応じた返信文案を生成

怒りや不安、感謝といった感情の違いに合わせて、適切な文体やトーンの返信文案を生成できます。クレーム対応やお礼メールなど、対応品質のバラつきを防げます。

あなたはカスタマーサポート担当です。
以下の顧客のメッセージを読んで、感情のトーンに応じた適切な返信文を生成してください。

【条件】
- 感情に寄り添う言葉を最初に入れる  
- 丁寧で穏やかな文体  
- 謝罪・共感・解決策の順で構成  
- 200文字程度で自然な日本語にまとめる

【顧客メッセージ】
「何度も問い合わせているのに返答が遅すぎます。これ以上待たされるのは困ります。」

チャットボットの回答文候補を生成・調整

定型だけでなく、やや複雑な質問にも対応できるように回答文を生成。人の表現に近い自然な文章をベースにカスタマイズできるため、チャットボットの精度が向上します。

あなたはチャットボットの担当者です。
以下の質問に対し、人間のサポート担当のような自然で丁寧な口調で回答文を作成してください。

【出力形式】
- 100〜150文字以内  
- 一文を短くしてわかりやすく  
- 顧客を安心させるトーンを重視

【ユーザーからの質問】
「無料トライアルは何日間使えますか?途中でキャンセルできますか?」

対応履歴を要約してテンプレート化

過去のチャットやメールのやり取りから要点を自動抽出し、報告書や社内共有のテンプレートとして整形。ナレッジの属人化を防ぎ、新人教育にも活用しやすくなります。

あなたはCSマネージャーです。
以下の対応履歴から「やり取りの要点」として、報告用テンプレートにまとめてください。

【出力形式】
1. 顧客の問い合わせ内容(1行)  
2. 担当者の対応内容(1行)  
3. 対応結果と今後の対応方針(1行)

【対応履歴】
- 4月1日:ユーザーがアカウント削除を希望  
- 4月2日:本人確認を実施、削除理由を確認  
- 4月3日:退会処理を完了し、確認メール送付  
- 現時点でクレームなどの反応はなし

同じ問い合わせ傾向を自動分類して改善につなげる

よくある問い合わせの内容や頻度をもとに、自動でカテゴリ分け。対応フローやUI改善のヒントを得やすくなり、顧客満足度の向上に貢献します。

あなたはCS部門の業務改善担当です。
以下の複数の問い合わせを内容の傾向ごとに分類し、それぞれのカテゴリ名・件数・改善提案をまとめてください。

【出力形式】
1. カテゴリ名(例: アカウント関連)  
2. 該当件数  
3. 問い合わせ例(2件)  
4. 改善提案(UI改善やチャット案内の強化など)

【問い合わせデータ】
- クーポンが使えませんでした  
- 割引コードの入力欄が見つかりません  
- 決済画面でエラーが出て戻ってしまう  
- 会員登録が途中で止まりました  
- メール認証のリンクが切れていました

5. 成果を出すための共通ポイント

生成AIは導入するだけで成果が出るものではありません。効果を最大化するには、使い方に工夫が必要です。以下の3点が、業務への定着と成果創出のカギとなります。

完璧を目指さず「下書き」「ヒント」として使う

生成AIはあくまで“支援ツール”です。最初から完成品を期待せず、たたき台やアイデアのヒントとして使うことで、業務スピードが大きく向上します。仕上げや判断は必ず人間が行う前提で活用することが重要です。

入力の工夫(プロンプト)で出力の質は大きく変わる

AIの出力は、入力次第で精度も内容も大きく変化します。「誰向けに」「どのような形式で」「どれくらいの分量で」といった条件を明確に伝えることで、業務に使える精度に近づきます。プロンプト設計の工夫は、全社展開時にも大きな差を生みます。

定着の鍵は「属人化をなくし、全員が使える状態」をつくること

生成AIの活用が一部の人だけにとどまっていると、効果は限定的です。使い方のテンプレートや成功事例を共有し、誰でもすぐに試せる環境を整えることで、組織全体での浸透と効果の底上げが可能になります。

6. 生成AIは“現場の小さな困りごと”を解決するパートナー

生成AIの強みは、「大がかりなシステム開発が不要」で「すぐに効果が見える」ことにあります。特に、営業・人事・カスタマーサポートといった日々の業務が多岐にわたる部門では、ちょっとした自動化や文章補助が大きな時短とミス削減につながります。

職種に合わせた使い方をすれば、すぐに効果が出せる

業務内容は部門ごとに異なりますが、生成AIは「文章をつくる」「整理する」「提案する」といった横断的な機能を持っています。そのため、業務ごとの特性に合わせて使えば、短期間で目に見える成果が出ることが多いのです。

明日から試せる小さな一歩から始めよう

すべての業務にいきなり導入する必要はありません。まずは日報作成やメール文案づくりなど、業務の中でも負担になっている“ひとつのタスク”から試すのがポイントです。「使えた」という小さな成功体験が、社内での理解や展開にもつながっていきます。

まとめ

営業・人事・カスタマーサポート、それぞれの業務には共通して「時間がかかる」「属人化しやすい」「改善の余地が大きい」といった課題があります。

生成AIは、こうした“繰り返し作業”や“情報整理”に非常に強く、すでに多くの企業で成果が出始めています。

まずは1つの業務からでも構いません。

自社の現場に合った形で試してみることで、新しい働き方の可能性が開けるはずです。

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